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クリエイターズ:わらべ絵画家・喜田川昌之氏

伊豆高原桜並木通りから1本入った所にその美術館はある。

『喜田川昌之わらべ絵館』

喜田川昌之氏による“わらべごころ”を描いた作品を展示する美術館であり、500点を超える作品の中から季節やテーマ毎に作品を入れ替えている。心地良い静穏な館内でその作品の数々を眺めていると、遠い日のひとコマを思い出し、なんとも言えないノスタルジーを感じさせてくれる。

人を惹きつける“わらべ絵”のルーツを探るべく、喜田川氏に直接お話を聞かせて頂いた。

 

感性は“おなかの中”に

心臓だけでなく、肺や肝といった言葉にも「こころ」の意味が入っている。
人が経験し感じた事、その想い、そこから培われるもの、それらの「こころ」は頭ではなく、おなかの中に貯まっていくように思う、と喜田川氏は語ってくれた。
そのおなかの中から紡ぎ出された情景=わらべごころを表現したものが“わらべ絵”ということなのであろう。

 

子供たちの自由さが礎に

東京で広さ4畳半のアパート暮らしをしていた30歳の頃、アスファルトにチョークでらくがきをしていた近所の子供たちに絵を描いて見せてあげたことがあった。それをきっかけに子供たちが部屋に集まるようになっていった。それから1ヶ月ほど、子供たちは部屋の中で絵を描いて遊んでいたが、子供たちの保護者の希望もあり、お絵かき教室としてのスタートをきった。
教室で子供たちに絵を教えていく中で、逆に子供たちの自由な発想に触れ、それが現在の活動の礎になっているのだという。

 

触れるということ

「心の目で描こう体験塾」として全国の小学校を回り、絵の描き方の指導をしていた時の事、絵は手で触れて、心で感じて描くものであると子供たちに伝えるようにしていたという。
指導の中で、見えない袋の中身を手で触って確かめ、それを描くという授業を行った。“触れる”事による感じ方は、低学年になるほど敏感で、見えないものを想像して感じたままに描く。見えないからこそ色だって好きなように創造すればいいのだそうだ。

 

わらべ絵館に見るこだわり

喜田川氏が伊豆高原にわらべ絵館をオープンさせるにあたり、その作りにもこだわりがあったという。
絵を飾る額縁は四角く硬いイメージがあり絵の柔らかさが出にくい。そのため各部屋の入口は曲線を用いたアーチ状にし、遠近法を利用し広く見せる工夫もされているという。
壁面は藁を混ぜた土壁、床はコルクや畳で、作品の持つ柔らかさ・暖かさを、より際立たせる作りになっており、お客様にゆっくりとみて頂ける場を演出している。この空間を含めて1つの作品といってもいいのかもしれない。

わらべ絵館を訪れた際には、ぜひ腰を下ろし、じっくりと作品を“感じて”欲しい。

[インタビュアー] 伊豆の旅先案内人・エクセレント牧野

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